W杯初戦のイランに市民声援「攻撃生き抜いてきた私たちにとって特別な大会」…スタジアム周辺では抗議活動も
【ロサンゼルス=増田知基、カイロ=吉形祐司】サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3か国大会で、イラン代表が15日、米ロサンゼルスでニュージーランドとの初戦に臨み、2―2で引き分けた。米国との対立に揺れる中、選手たちに大きな声援が送られた。イラン現体制に反対する在米イラン系住民からは、複雑な心境も聞かれた。

イラン代表はこの日、2度のリードを追いつく粘り強さを見せ、スタジアムに集まったイランサポーターを沸かせた。ロサンゼルス郊外に住むイラン系のケイボン・ドゥラシャヒさん(34)は観戦後、「選手たちのプレーはよかった」と評価。「W杯を機に、戦争をしない国になってほしい」と願った。
2月末に始まった米国とイスラエルによる激しい攻撃で、イラン国内は混乱に陥った。選手はトルコでの合宿などで調整を重ね、キャンプ地も急きょ米国からメキシコに変更となった。
関係者のビザ(査証)取得も難航した。英BBCによると、イランの代表選手は米国側に入国を許可されたが、イランサッカー連盟のメフディ・タージ会長やスタッフら11人の入国は認められなかった。
ロサンゼルスには、首都テヘランと掛け合わせて「テヘランゼルス」と呼ばれるイラン系住民のコミュニティーがある。イランの現体制に反発した難民や亡命者らも多い。スタンドでは、1979年のイラン革命前の国旗を手にする人の姿が目立った。
スタジアム周辺ではイランの現体制を批判する抗議活動も行われた。40歳代の女性は「今日(スタジアムに)掲げられる国旗は私たちの旗ではない」と話した。
イランの首都テヘランでは、文化施設のホールに試合を映し出す大型スクリーンが設けられた。未明にもかかわらず、約400人が集まり、「イラン、イラン」の合唱で声援を送った。

大学生のザフラ・ナゼミさん(21)は本紙の取材に、「今年のW杯は攻撃を生き抜いてきた私たちにとって特別な大会。戦争の苦痛を過去のものにしたい」と語った。