サッカー日本代表・森保監督の「神対応」、日常に溶け込む自然な心配り

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サッカー日本代表は17日(日本時間18日)、20日のチュニジア戦に向けて練習を行った。休養日明けのこの日、主力選手が全体練習に参加できないなど厳しい状況が続く中、森保一監督のある振る舞いが見学に訪れた人たちを喜ばせた。それが「神対応」と称賛されないのは――。(デジタル編集部 古和康行)

見学に訪れた人たちと記念撮影する森保監督(左)
見学に訪れた人たちと記念撮影する森保監督(左)

サッカー日本代表は17日、全体練習を再開した。前日のオフを経て、「さあ張り切って……」となるはずだったが、またしても現場の空気は張り詰めた。というのも、オランダ戦で負傷した久保建英(レアル・ソシエダード)が姿を見せなかったからだ。

練習の公開時間終了後、日本サッカー協会の広報担当者がメディアセンターに現れ、経緯を説明する。それによると、オランダ戦後に磁気共鳴画像装置(MRI)で検査した結果、左膝の負傷が確認されたという。トレーナーとともに宿舎にとどまり、復帰を目指して治療するということだった。

メディアセンターはにわかに慌ただしさを増し、数分と待たずに、久保の状態を伝える速報記事が報道各社から次々と配信された。そんな一日だったが、森保監督は少なくとも報道陣の前では極めて冷静に、おおらかに振る舞っていた。

保護者に自ら歩み寄り

多分、この人にとっては「神対応」じゃないのだろう。

この日の練習は、イーストテネシー日本語補習授業校とメンフィス日本語補習校に通う6~18歳の計145人が見学に訪れていた。

練習開始前、選手よりも少し早くグラウンドに現れた森保監督は、子どもたちに目線を合わせてハイタッチをして回った。小さい子には腰を落として向き合い、ゆっくりと手を重ね合わせる。

チュニジア戦に向けて調整するサッカー日本代表
チュニジア戦に向けて調整するサッカー日本代表

その後、練習を見学していた子どもの保護者らのところまで自ら歩み寄り、握手したり、ハイタッチしたり……。「少しでも日本人の方からパワーを(もらえたら)」と笑いながら、保護者たちと気さくに言葉を交わした。

写真を撮ろうと近くに寄りながら、思わず「大した人だなぁ」とひとりごちると、そばを歩いていたJFAの職員も「あんな人、いないですよね」とつぶやく。

森保監督は、保護者の列の一番端までハイタッチして回ると、最後に小さな子どもを抱えた男性のスマートフォンを手にとり、「入って!入って!」と周囲に促して自撮りをしてから練習に向かった。スマホを手渡した、米テネシー州メンフィスに住む研究医の山田裕太さん(42)は「本当にこの場に来るのが楽しみだったし、代表監督と間近に話したのは初めてでびっくりした。親しみやすい監督だなと感じた」と声を弾ませた。

「神対応」は日常に溶け込んで

大会開幕前のナッシュビルでの最終調整でも森保監督は練習前、ピッチサイドでレンズを向けるカメラマンや集まった記者たちに、「お疲れ様です。よろしくお願いします」と頭を下げて回っていた。

保護者らのもとに自ら足を運んだこの日の対応について、JFAの広報スタッフに詳細を確認しようとしたところ、「いつものことですけどね」と不思議そうな顔をされた。周りの記者やカメラマンは気にも留めていなかった。たぶん、その風景が日常だからだろう。

でも、本当にそれは誰にでもできることだろうか。森保監督は今回、監督として2回目のW杯に臨んでいる。悔しい思いをした前回大会の雪辱を果たしたいという気持ちも強いはずだ。

地元の子どもたちと目線を合わせて挨拶をする森保監督
地元の子どもたちと目線を合わせて挨拶をする森保監督

開幕直前には、けがの影響で主将の遠藤航(リバプール)が離脱を余儀なくされ、オランダとの大会初戦ではスタメンで起用した久保も負傷する事態に見舞われた。チームを率いる指揮官として心穏やかとは言えない状況が続く。1次リーグ突破のためには、次戦のチュニジア戦は絶対に落とせない。プレッシャーも桁違いだろう。

そんな時にあって目の前のファンに歩み寄り、身をかがめ、笑顔で接する森保監督の姿。サッカー日本代表を記者が取材するのは今回が初めてだからだろうか――。たしかに、その背中は大きく見えたし、決して「普通のこと」ではない気がした。

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